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【映画】『ハウス・オブ・グッチ』 -映画メモ‐ ※ネタバレあり

 ブレードランナーで知られるリドリー・スコット監督の最新作『ハウス・オブ・グッチ』(2022)。リドリー・スコットといえば美術にも自ら手掛けているほど映画に対して真摯な監督である。

『ハウス・オブ・グッチ』はファッションブランド・GUCCIが辿る一族の歴史を実話を基に描かれた物語である。

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 作品の良し悪しは置いといて、この映画で一番気になったのは何といっても主演のレディー・ガガだ。前半レディー・ガガ演じるパトリツィアの登場シーン。彼女は車から降り颯爽と彼女の父が経営する運送会社の事務所に向かう。事務所までの道では、従業員たちが彼女に見とれている姿を映している。ここで何か違和感を覚える。

レディー・ガガ自体はルックス的には何の問題もない。スタイルは他の女優と比べると劣るかもしれないが、指摘するほどでもない。

ここから、パトリツィアはアダム・ドライバー演じるマウリツィオ・グッチと出会い、物語が進むにつれ悪役になっていく。

マウリツィオと不倫するパオラを見て気付いたが、映画の悪役女性といえばブロンドじゃないか、ということ。もしかすると、レディー・ガガに感じた違和感は髪の色かもしれない。フィルムノワールに登場する悪役女性の髪の色はブロンドであることが多い。(筆者の見解です)

あのブロンドの髪が照明に照らされて、金色に輝くことでその美しさが際立つ。それと比例し、その女性の魔性さが際立つ。魔性な女に惑わされ、破滅の道を辿るのがフィルムノワールの1つの面白さと言えるのではないか。

しかし、『ハウス・オブ・グッチ』のレディー・ガガにはその魔性さが足りない。フィルムノワールじゃないから、魔性さなんていらないかもしれないけどそれにしてもパトリツィアには何故か惹かれない。

もしかすると、リドリー・スコットは"恋は盲目的"に、他人から見ると何に惹かれたのか分からない恋人同士とそれがきっかけで崩壊する家族の脆さを描きたかったのかもしれない。

 

【映画】『事故物件 恐い間取り』 -映画メモ‐ ※ネタバレあり

 『リング』や『仄暗い水の底から』などを作り出した中田秀夫監督がメガホンを取り、2020年に公開された『事故物件 恐い間取り』。

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この作品の出来の良し悪しは置いといて、気になったところはこの映画がホラーなのかということ。終盤で対峙する死神はまるでダース・ベイダーのようだし、お線香の火花は魔法のように見える。

 

この映画をホラーというジャンルに位置付けすると、全く怖くないどころか笑いすら起こる。もしかすると、これはSFでありファンタジーでありアクション映画なのではないか。

そう考えると、怖くないのも当然で次のように言えないこともない。

つまり、この映画は人間と幽霊の住居をかけた戦いだということ。

全くのこじつけではあるが、そう解釈することもできるのではないか。

 

地縛霊にとって自分の住処とは、この映画で言うところの”事故物件”である。主人公の亀梨演じるヤマメはそんな行き場のない幽霊たちの住処へ次々と侵入している。

いわばヤマメは幽霊たちにとって侵略行為をおこなっているのだ。

そうなると幽霊サイドも黙っておくわけにはいかない。幽霊たちの軍師的存在・黒マントの死神は物語の終盤とうとう行動に出る。(もちろん、人間サイドの軍師は江口のりこ演じる不動産屋の横水さんである。)

ヤマメたちに迫りくる死神の顔は住処を奪われた多くの幽霊たちに変化する。そして、人間たちと住処をかけた攻防が始まる。

結果は…軍師横水さん率いる人間サイドの作戦勝ち。

 

ラストシーン、事故物件に住んでいない横水さんが死神よって殺されるのは、幽霊たちの復讐の狼煙といっても過言ではない。軍師を失ったヤマメたちがこれから待ち受けるのは一体どういうものなのか…。ラストはやはりバッドエンドということなのだろう。

 

かなりのこじつけだが、このような映画の見方もできるのではないだろうか。

面白くないと断定するのは簡単だが、別の解釈で物語を捉えることができるという映画の特質性を改めて実感できた映画だった。