【映画】『事故物件 恐い間取り』 -映画メモ‐ ※ネタバレあり
『リング』や『仄暗い水の底から』などを作り出した中田秀夫監督がメガホンを取り、2020年に公開された『事故物件 恐い間取り』。
この作品の出来の良し悪しは置いといて、気になったところはこの映画がホラーなのかということ。終盤で対峙する死神はまるでダース・ベイダーのようだし、お線香の火花は魔法のように見える。
この映画をホラーというジャンルに位置付けすると、全く怖くないどころか笑いすら起こる。もしかすると、これはSFでありファンタジーでありアクション映画なのではないか。
そう考えると、怖くないのも当然で次のように言えないこともない。
つまり、この映画は人間と幽霊の住居をかけた戦いだということ。
全くのこじつけではあるが、そう解釈することもできるのではないか。
地縛霊にとって自分の住処とは、この映画で言うところの”事故物件”である。主人公の亀梨演じるヤマメはそんな行き場のない幽霊たちの住処へ次々と侵入している。
いわばヤマメは幽霊たちにとって侵略行為をおこなっているのだ。
そうなると幽霊サイドも黙っておくわけにはいかない。幽霊たちの軍師的存在・黒マントの死神は物語の終盤とうとう行動に出る。(もちろん、人間サイドの軍師は江口のりこ演じる不動産屋の横水さんである。)
ヤマメたちに迫りくる死神の顔は住処を奪われた多くの幽霊たちに変化する。そして、人間たちと住処をかけた攻防が始まる。
結果は…軍師横水さん率いる人間サイドの作戦勝ち。
ラストシーン、事故物件に住んでいない横水さんが死神よって殺されるのは、幽霊たちの復讐の狼煙といっても過言ではない。軍師を失ったヤマメたちがこれから待ち受けるのは一体どういうものなのか…。ラストはやはりバッドエンドということなのだろう。
かなりのこじつけだが、このような映画の見方もできるのではないだろうか。
面白くないと断定するのは簡単だが、別の解釈で物語を捉えることができるという映画の特質性を改めて実感できた映画だった。